「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

６　ひかえめ？

寂光・・・ひかえめ？

　注文してから３日も待った「大人の科学Vol９」が到着した。
　間違えないで欲しいが・・・。
　決して・・・「大人の玩具（おもちゃ）」じゃない。
　「大人の科学」である・・・学研（がっけん）・・・の。

　「指紋の検出や、血液の判定、スパイメモの製作など、薬品や紫外線ライトが付いた『探偵スパイセット』」とか、
　「ロウソクと簡易ボイラーで動く『ポンポン船』」とか。
　が・・・一連のシリーズに「付録（ふろく）」で付いてくる・・・のだ。

　楽しそうじゃないかっ！

　４０過ぎたオッサンが、
　「スパイメモ」とか「紫外線ライト」なんて。
　・・・何に使う・・・んだ？
　・・・『ポンポン船』・・・？
　余り・・・深く考えてはいけない。

　兎に角（とにかく）。
　至極まっとうなモノ・・なの・・だ。・・ふう。
　
　「大人の科学Vol９」は。
　『ピンホール式プラネタリウム』が付録である。
　あの。
　「メガスター」や「HOMESTAR（セガトイズ）」なんか
　で有名な大平貴之氏との共同制作である・・・らしい。

　素人でも。
　天体観測が簡単にできる「天体オートサーチ」なんてのがクッ付いた
　天体望遠鏡の廉価版「ETX-80AT（MEADE社製）」なんか・・・５万円位するし。
　家庭用プラネタリウム「HOMESTAR」で２万円弱、
　その上位機「HOMESTAR PRO」は３万円台・・・。
　・・・貧乏人には・・・高すぎる。

　でも。
　「大人の科学Vol９」は２，２００円っ！
　・・・極貧の私にでも・・・買える。

　だが。
　「光源（こうげん）」が・・・『豆電球』・・・らしい。
　購入者コメントには。
　「暗すぎて、チャチで、ガキの玩具にもならないっ！・・・早速、別のモノに買い換えましたっ！」って
　・・・書いてあった。

　すこおしは・・・迷ったのだ。
　でも。
　「光源」を・・・「３点式ダイオードなつめ球型」に改造すれば・・・ニッ！
　って・・・購入したのだ。

　午後７時に到着。
　早速、「付録」の説明書を読む。
　・・・本冊は未だに読んでないが。

　「改造可能かも知れない！」
　原動機付自転車に飛び乗る。

　私は「うつ」で「ひきこもり」である。
　でも。
　何故だか「自分の遣（や）りたい事」には全く躊躇（ちゅうちょ）しない・・・？

　某ヤマダ電機にて。
　「３点式ダイオードなつめ球型」と「コード付ソケット」を計１，０６０円で購入する。
　再び・・・真っ暗闇の中、３０分かけて自宅に戻る。

　蚊に刺されまくった右足を掻（か）きながら。
　「改造」に・・・熱中する。

　「正１２面体」になる「恒星原板」部分は。
　４つに分かれた「平面の薄いプラスチック板」を、
　付属の「両面テープ」でクッ付けるなんて・・・。
　信じられない『難業（なんぎょう）』にも・・・ヘコタレず。
　２時間後・・・見事に完成した。

　蛍光灯を消すと既に真っ暗闇。
　ワクワクしながら・・・
　ソケットのスイッチを入れる。
　？？？
　・・・明るくなった。

　「３点式ダイオードなつめ球型」を。
　「１点式ダイオードなつめ球型」に、
　「５Ｗなつめ球」に、
　「１０Ｗなつめ球」に。
　・・・更に・・・明るくなった。

　どうも。
　「光源」のパワー過剰のようである。
　中から照らす灯（あかり）が強すぎる・・・と。
　「原板の黒い部分」が役に立たない・・・らしい。

　泣きそうになりながら。
　「なつめ球用ソケット」を・・・
　元々の「豆電球用ソケット」に戻す。

　支柱部分のネジが・・・潰（つぶ）れる。
　二つに分解出来なくなった「プラスチックの支柱部分」を。
　・・・ドライバーで打っ壊す。
　後から・・・セロハンテープで誤魔化した。

　単三乾電池２本を放り込み。
　半ば「投げ遣（や）り」に・・・本体のスイッチを入れる。

　天井一面に星空が現れた。

　それは。
　「天井」や「壁」一杯に「目」が現れる
　妖怪「百目（ひゃくめ）」のよう・・・だった。

　この頃、非常に「眼」が悪くなり。
　星空なんて・・・殆ど見ることができないでいる。
　「満天の星空」なんか。
　一体・・・何時見たんだろう。

　最近。
　北朝鮮や米国やロシア・・・。
　そうして。
　民主党さんなんて応援している日本国民の方々。
　み～んな・・・「大きな声」で主張ばかりしてる。

　「自分の言いたい事はハッキリと主張するべきだ」
　アメリカンナイズされた「考え方」には、私も大賛成ではある。

　でも。
　何時も明るく輝く「白熱灯」の光ばかりが、
　・・・何時も「正しい」のだろうか？

　時には。
　「豆電球」のような
　小さく微笑（ほほえ）む
　「控えめ」な主張にこそ
　「理（ことわり）」があるような気がしている。

　『多数決』は。
　『民主主義の大原則』である。
　でも。
　「ＴＶなんかで始終喧（やかま）しく報道されること」
　に振り回されて・・・
　唯（ただ）従ってる「多数決」よりも。

　身近な。
　控えめで暖かい「優しさ」。
　そんなものを、
　みんなで、
　汲（く）み取って行く。

　それも・・・『民主主義』なのに。